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税務士選びのポイント
事例研究
不合理な区分で土地・建物を購入した時の消費税、法人税の取扱い
区分所有建物を退職金として現物支給した場合の時価の算定と過大退職金の判定及び退職金の経理処理について
長年無報酬だった役員の退職金
Hは不動産の賃貸及び管理を行う同族法人の役員となっていたが業務を他の親族に任せ別の職業に従事してていたため20年間無報酬だった。
今回法人の解散に伴い所有不動産を売却することとなり1年半前から代表取締役となり月額20万円の役員報酬の支給を受けている。
同人に対する役員退職金の適正額はいくらか
回答
最終月額報酬20万 × 勤続年数 2年 × 功績倍率3.0
= 180万円程度
思考過程
ここでは無報酬の名目役員の退職給与について 無報酬であった期間が役員の勤続年数に含まれるかどうかということが問題となる。
この場合 無報酬であるが業務に従事していた場合と
無報酬で業務に従事していない場合がある
無報酬であるが業務に従事していた場合は事例2で検討した。
無報酬で業務に従事していない場合は、当然その期間は含まれない。
平成3年12月11日裁決でも無報酬の名目役員の退職給与について 請求人の支払った退職給与は業務に従事していない無報酬の名目上の役員に対するものであり功労の対象としての性格を有しないから損金の額に算入しない
また平成20年1月25日採決でも 退職役員は業務に従事した事実がなく無報酬のいわば名目的な役員であったことは明らかであり本件役員退職給与は請求人の財産を各退職役員に配分することを前提として支給されたに過ぎず、過去の勤労に対する対価の後払いであるあるいは在職中の功労に対する報償でないとして損金の額に算入できないとした。
事例に当てはめると Hは20年間業務に従事しておらず従事期間は直近の1年半であり端数を切上げ2年として功績倍率3倍で計算を行った。